「障害者総合支援法」では、「障害者総合支援法」の施行後3年を目途に、障がい福祉サービスの在り方等を見直すこととされています。
平成27年5月から平成27年12月に開催された「社会保障審議会 (障害者部会)」の内容を踏まえ、平成28年3月8日の障害保健福祉関係主管課長会議において、障害者総合支援法の見直しに関する概要が提示されています。
参考サイト
障害保健福祉関係主管課長会議(平成28年3月8日開催)
上記の会議内容を踏まえて、前回の特集記事では、障がい児における障がい福祉サービスの見直しに関する特集記事を掲載しました。
参考サイト
第4回 障がい児における障がい福祉サービスの見直し(平成28年7月22日掲載)
今回の特集記事では、「その他の障がい福祉サービス事務の見直し」に関する特集記事を掲載します。
医療的ケアを要する障がい児に対する支援
NICU(※)等に長期間入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用した医療的ケアが必要な障がい児(医療的ケア児)が増加しています。
※Neonatal Intensive Care Unit(新生児特定集中治療室):何らかの疾患がある新生児に対して集中的に管理や治療を行う治療室のこと
障がい児(医療的ケア児)が地域において必要な支援を円滑に受けられるように都道府県や市町村は各関連機関(医療機関、障がい福祉サービス事業所等)との連絡調整を行うための体制の整備に努めるよう求められています。
障がい児のサービス提供体制の計画的な構築
「障害者総合支援法」に基づく障がい福祉サービスについて、都道府県や市町村はサービス種類等の必要な量の見込みや提供体制の確保に係る目標を「障害福祉計画」として策定していました。
しかし、「障害福祉計画」には、「児童福祉法」に基づいたサービス(障がい児通所・入所支援、障がい児相談支援)に関する内容が含まれていない等の課題がありました。
上記課題への対応として、「児童福祉法」に基づいたサービス(障がい児通所・入所支援、障がい児相談支援)に関しても、必要なサービスを確保するために「障害児福祉計画」として策定する等の見直しが行われます。
障がい福祉サービス等の情報公表制度の創設
障がい福祉サービスを提供する事業所が大幅に増加していることに伴い、利用者のニーズに応じて良質なサービスを提供している事業所を探し出すことが難しい課題がありました。
上記課題への対応として、事業所が都道府県に対して、障がい福祉サービスの事業内容等を報告し、都道府県は事業所から報告された障がい福祉サービスの事業内容をインターネット上で公表する仕組みが新たに創設されます。
自治体による調査事務・審査事務の効率化
「障害者自立支援法」の施行から10年が経過し、障がい福祉サービス事業所や利用者が大幅に増加していることに伴い、市町村による「調査事務」や「審査事務」の業務量の負担が高くなっている課題がありました。
上記課題への対応として「調査事務の効率化」と「審査事務の効率化」の見直しが行われます。
「調査事務の効率化」においては、調査事務の一部を「指定事務受託法人の事業所」に委託することが可能となります。
「審査事務の効率化」においては、障がい福祉サービス等に係る給付費の審査事務を「国保連合会」に委託することが可能となります。
まとめ
障害者総合支援法の見直し概要に関する特集記事の第3弾として「その他の障がい福祉サービス事務の見直し」を解説しました。
「障がい児支援」の改善として、以下の見直しが行われる予定です。
また、「介護保険制度」や「子ども・子育て支援制度」で既に実施されている事業所の情報公表制度(インターネット上で事業所の従業員数や営業時間等を照会する)が障がい福祉サービスにおいても実施される見込みとなっており、利用者にとって、サービス事業所を選択する際の参考情報として活用することが出来るようになります。
さらに、市町村における「調査事務」を「指定事務受託法人の事業所」、「審査事務」を「国保連合会」に委託することが可能となり、特に「審査事務」については、市町村の事務負担が大きく軽減される見込みです。
※当記事は平成28年3月8日に開催された障害保健福祉関係主管課長会議に提示された情報を基に作成をしています。今後、厚生労働省等からの提示内容により、記載内容が異なる可能性があります。
添付
障害保健福祉関係主管課長会議(平成28年3月8日開催)
