「障害者総合支援法」では、「障害者総合支援法」の施行後3年を目途に、障がい福祉サービスの在り方等を見直すこととされています。
前回の特集記事では、平成27年5月から平成27年12月に開催された「社会保障審議会 (障害者部会)」の内容を基に、障害者総合支援法施行後3年を目途とした見直しの状況を解説しました。
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第2回 障害者総合支援法施行後3年を目途とした見直しの検討状況について
これまでに開催された「社会保障審議会 (障害者部会)」の内容を踏まえ、平成28年3月8日の障害保健福祉関係主管課長会議において、障害者総合支援法の見直しに関する概要が提示されています。
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障害保健福祉関係主管課長会議(平成28年3月8日開催)
平成28年3月8日の障害保健福祉関係主管課長会議で提示された資料を基に、障害者総合支援法の見直しの概要を3回に分け、特集記事として解説します。
地域生活を支援する新たなサービス(自立生活援助)の創設
一人暮らしを希望する障がい者について、知的障がいや精神障がいにより、理解力や生活力等が十分でないため、安心した一人暮らしが行えない課題がありました。
上記課題への対応として、障がい者支援施設やグループホームを利用していた障がい者の方が、一人暮らしを希望した際に、安心した生活を送れるように支援するサービスが創設されます。
サービスの内容として、定期的な巡回訪問や電話・メール等により、対象者の方の生活状況を確認し、必要な助言や医療機関との連絡調整を行うこと等が挙げられています。
就労定着に向けた支援を行う新たなサービス(就労定着支援)の創設
一般就労に移行した障がい者について、就労に伴う生活面での様々な課題が発生し、就労定着に繋がらない課題がありました。
上記課題への対応として、就労移行支援等の利用を経て一般就労に移行した障がい者を対象とし、企業への就労が定着できるように支援するサービスが新たに創設されます。(就労定着支援)
サービスの内容として、企業・自宅等への訪問等により、対象者の課題状況を把握し、必要な連絡調整や指導・助言などの支援を行うこと等が挙げられています。
重度訪問介護の訪問先の拡大
これまでの重度訪問介護の訪問先は、「居宅」に限定されていましたが、四肢の麻痺や寝たきりの状態にある最重度の障がい者が医療機関に入院した際に、「医療機関」であっても重度訪問介護が行えるよう見直しが行われます。
高齢障害者の介護保険サービスの円滑な利用
高齢の障がい者が障がい福祉サービスに相当する介護保険サービス(居宅介護、短期入所等)を利用した際に、障害福祉制度と介護保険制度の利用者負担の求め方が異なることにより、利用者負担が新たに生じる課題(※補足説明)がありました。
※補足説明
低所得者の障がい者が居宅介護(ホームヘルプ)を利用した場合、障害福祉制度では、利用者負担はありませんでしたが、介護保険制度では原則として利用料金の1割の利用者負担が生じていました。
上記課題への対応として、65歳に至るまで相当の長期間にわたり障がい福祉サービスを利用していた高齢の障がい者に対して、市町村が利用者のサービス利用料を負担する仕組みが新たに設けられる予定です。
また、障がい福祉サービス事業所が介護保険事業所になりやすくなる等の見直しも行われる予定です。
まとめ
障害者総合支援法の見直し概要に関する特集記事の第1弾として「障がい者における障がい福祉サービスの見直し」を解説しました。
障がい者の方が自らの望む地域生活を営めるように「生活」と「就労」に関する支援として、以下のサービスが創設されます。
また、高齢の障がい者が障がい福祉サービスに相当する介護保険サービス(居宅介護、短期入所等)を円滑に利用することができるよう、利用者負担の軽減制度が設けられる予定です。
さらに、障がい福祉サービス事業所が介護保険事業所になりやすくする等の見直しが行われる予定です。
特に高齢の障がい者に関する利用者負担の軽減は、利用者、サービス事業所、市町村において、影響の大きい改正内容となっているため、具体的な利用者負担軽減の仕組み等、詳細な情報を今後確認する必要があります。
次回の特集記事は、障害者総合支援法の見直し概要に関する特集記事の第2弾として「障がい児における障がい福祉サービスの見直し」を解説します。
※当記事は平成28年3月8日に開催された障害保健福祉関係主管課長会議に提示された情報を基に作成をしています。今後、厚生労働省等からの提示内容により、記載内容が異なる可能性があります。
添付
障害保健福祉関係主管課長会議(平成28年3月8日開催)
