特集

障害者総合支援法の見直し
「障害者総合支援法」は、施行後3年(平成28年4月)を目途に見直しが行われることとなっています。 wel.ne.jpでは障害者総合支援法の見直し内容などの特集記事を随時、掲載していきます。

第2回 障害者総合支援法施行後3年を目途とした見直しの検討状況について

2016年4月11日
障がい者の方が、地域社会における共生の実現に向け、障がい福祉サービスの充実や障がい者の日常生活及び社会生活を総合的に支援することを目的として、平成25年4月に「障害者総合支援法」が施行されました。

「障害者総合支援法」では、「障害者総合支援法」の施行後3年を目途に、障がい福祉サービスの在り方等を見直すこととされています。

前回の特集記事では、平成26年12月から平成27年4月に開催された「障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ」の結果を踏まえて、「障害福祉サービスの在り方に関する見直し」について10の論点整理の案が提示されていることを解説しました。

参考サイト
第1回 障害者総合支援法施行後3年を目途とした見直しについて

今回の特集記事では、平成27年5月から平成27年12月に開催された「社会保障審議会 (障害者部会)」の内容を基に、障害者総合支援法施行後3年を目途とした見直しの最新状況を解説します。

障害者総合支援法の見直しの基本的な考え方と今後の取り組み


平成27年12月14日に開催された社会保障審議会障害者部会(第79回)において、「障害者総合支援法施行3年後の見直しについて」の報告書が提示されました。

報告書の中で「障害者総合支援法」の見直しに関する基本的な考え方が、<3つの柱>として整理されています。

<3つの柱>
1.新たな地域生活の展開
2.障がい者のニーズに対するよりきめ細やかな対応
3.質の高いサービスを持続的に利用できる環境整備


<3つの柱>で示された主な内容を紹介します。


(1)本人が望む地域生活の実現

  • 本人の意思を尊重した地域生活が行えるよう、障がい者の日常生活を適切に支援できる者による定期的な巡回訪問や随時対応によるサービスを新たに位置づけるべき。

  • 障がい者の地域移行の受け皿となるグループホームについて、重度障がい者に対応できる体制を備えた支援などを提供するサービスを位置づけるべき。


(2)常時介護を必要とする者等への対応

  • 入院中も医療機関で重度訪問介護による一定の支援を受け入れるように見直すべき。あわせて、意思疎通支援事業が入院中においても引き続き適切に利用されるよう周知を図るべき。


(3)障がい者の社会参加の促進

  • 通勤・通学等に関する訓練を、「就労移行支援」・「障がい児通所支援」により実施することとし、必要に応じて評価すべき。

  • 医療機関に入院中の外出・外泊に伴う移動支援について、障がい福祉サービス(同行援護、行動援護、重度訪問介護)が利用できることを明確化すべき。

  • 就労定着に向けた支援が必要な障がい者に対して、就労定着に向けた支援を集中的に提供するサービスを新たに位置づけるべき。

  • 就労移行支援/就労継続支援において、一般就労への移行実績を踏まえた評価を行うべき。



(1)障がい児に対する専門的で多様な支援

  • 乳児院や児童擁護施設等に入所している障がい児や重度の障がい等のため外出が困難な障がい児への発達支援を提供できるようにすべき。

  • 障がい児の放課後等の支援については、子ども・子育て支援施策である放課後児童クラブや教育施策である放課後子供教室等における受け入れを引き続き推進すべき。


(2)高齢の障がい者の円滑なサービス利用

  • 介護保険サービスの利用に伴う利用者負担については、従来利用してきた障がい福祉サービスと同様のサービスを利用するにも関わらず、利用者負担が発生する課題があることを踏まえ、そのあり方について検討すべき。

  • 障がい福祉サービスを利用してきた障がい者が、相当する介護保険サービスを利用する場合も、それまで当該障がい者を支援し続けてきた障がい福祉サービス事業所が引き続き支援を行うことができるようにするため、その事業所が介護保険事業所になりやすくする等の見直しを行うべき。

  • 障がい者支援施設等に入所していた障がい者が退所して、介護保険施設等に入所する場合の住所地特例の適用を見直すべき。


(3)精神障がい者の地域生活の支援

  • ピアサポートについて、その質を確保するため、ピアサポートを担う人材を養成する研修を含め、必要な支援を行うべき。

  • 精神障がい者の短期入所について、医療との連携を強化すべき。


(4)地域特性や利用者ニーズに応じた意思疎通支援

  • 司法、医療などの専門分野への対応を図るため、手話通訳士・者、要約筆記者、点訳者、盲ろう者向け通訳・介護員等の指導者教育を強化すべき。

  • 小規模な市町村で意思疎通支援事業実施が困難・不十分な場合に、都道府県や近隣市町村による事業補完・代替実施の取組を進めるべき。

  • 地域生活支援事業等について、失語症、知的障がい、発達障がい、高次元脳機能障がい、難病、重度の身体障がいのある者が、意思疎通支援者の養成・派遣に関する事業の対象であることを明確化すべき。



(1)利用者の意向を反映した支給決定の促進

  • 計画相談支援について、相談支援専門員の確保と資質の向上に向け、研修制度の見直しや指導的役割を担う人材の育成や活用を進めるべき。

  • 主任相談支援専門員の育成にあたって、支援技術、育成のカリキュラム、実務経験の評価等の在り方を検討するべき。

  • 障害支援区分について、2次判定の引き上げ割合に地域差が見られること等の指摘があることから、その要因を分析し、判定プロセスにおける課題を把握し、必要な改善策を検討すべき。

  • 市町村ごとの審査判定実績等必要な情報を国が把握し、自治体に対して継続的に提供するなど、認定事務の適正な運用を図るべき。


(2)持続可能で質の高いサービスの実現

  • 利用者が、個々のニーズに応じた良質なサービスを選択できるよう、介護保険や子ども・子育て支援制度を参考としつつ、サービス事業所の情報を公表する仕組みを設けるべき。

  • 市町村による給付費の審査をより効果的・効率的に実施できるよう、現在支払事務を委託している国保連合会について、審査を支援する機能を強化すべき。

  • 制度に対する理解促進や不正請求の防止等の観点から、市町村から利用者に対し、サービス内容や金額を通知するなどの取組を推進すべき。



まとめ


平成27年5月から平成27年12月に開催された「社会保障審議会 (障害者部会)」の内容を踏まえて、「障害者総合支援法施行後3年を目途とした見直し」における改正案が提示されました。

サービス利用者は、<新たなサービスの創設><既存サービスの見直し>に伴い、サービス利用の幅が広がることになります。

<新たなサービスの創設>
  • 障がい者の日常生活を適切に支援できる者による定期的な巡回訪問や随時対応によるサービス

  • 就労定着に向けた支援が必要な障がい者に対して、就労定着に向けた支援を集中的に提供するサービス

<既存サービスの見直し>
  • 「重度訪問介護」について、医療機関へ入院している場合も利用可能

  • 乳児院や児童擁護施設等に入所している障がい児や重度の障がい等のため外出が困難な障がい児への発達支援を提供

  • 通勤・通学等に関する訓練を、「就労移行支援」・「障がい児通所支援」により実施する 等


さらに、高齢の障がい者において、「介護保険サービス」を利用する場合、利用者負担が発生する課題についての検討が行われることとなっています。

サービス提供事業所は、「新たなサービスの創設」や「既存サービスの見直し」の内容を踏まえて、適切なサービスの提供が行えるように準備を進める必要があります。

市町村においては、「障がい福祉サービス給付費の審査事務」を、国保連合会へ委託することが可能となる見込みであるため、事務負担の軽減が期待できます。また、制度に対する理解促進や不正請求の防止等の観点から、市町村から利用者に対し、サービス内容や金額を通知するなどの取組を推進することが期待されています。

「障害者総合支援法施行後3年を目途とした見直し」に関する改正内容について、平成28年3月1日に閣議決定され、改正内容の殆どが平成30年4月1日に施行する予定となっています。

次回の特集記事では、平成28年3月8日の障害保健福祉関係主管課長会議で提示された資料を基に、より詳細な障がい福祉サービスの改正内容を解説します。

※当記事は平成27年12月14日に開催された社会保障審議会 (障害者部会)に提示された情報を基に作成をしています。今後、厚生労働省等からの提示内容により、記載内容が異なる可能性があります。


添付


社会保障審議会 ・障害者部会(平成27年12月14日開催)
「障害者総合支援法施行3年後の見直しについて~社会保障審議会 障害者部会 報告書~」 - PDFファイル

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