前稿で、被災地では今後「後見制度」(成年・未成年とも)が、被災した高齢者や障がい者・震災孤児等において必須であると記した。しかし以下のような理由で、まだまだ利用が進んでいないのが現状であろう。
(中編はこちらよりご覧ください)
- 制度そのものの難しさ
- 申立の煩雑さ
- 制度の相談に対応できる人が少ない(社会福祉士であっても、きちんと制度を熟知していない人も多いと思われる。また法律の専門家でも、制度を熟知している人は少いと思われる)
- 被災地が広範囲で相談に対応できる人が不足している
- 「地域性」(他人のお世話になりたくない等の風土)
今、社会福祉士が「後見制度」に関してできることは何か。
それはソーシャルワーカーの「相談力」を生かして、「地域に入り込んで」後見ニーズを拾い、ニーズがある人と「信頼関係」を構築し、後見制度につなげていくこと(申立はご家族や法律の専門家にお任せするとしても)ではないか、と考える。具体的には、地域包括支援センターや学校等地域の拠点に入り、丹念に地域を把握し、地域の人を把握する、ということになろう。当然、前述の「地域性」のこと等は知らない以上、地域の方に「教えていただく」という謙虚な姿勢が求められるのは、言うまでもない。
すでに被災地に独立型社会福祉士が入り、地域に密着した活動を開始している。こうした活動が始まった地域では、わずかではあるが「感触」があるという話も聞く。逆に言えば、地域密着で活動できていない地域は、まだまだ後見のニーズが引き出されていないと予想される。
こうした「地域密着活動」を、被災地全体に拡げていくこと、そして長期的かつ継続的に行うことができるようにする仕組み作り(社会福祉士の派遣がボランティアではなく、旅費や報酬がきちんと支払われる仕組み)が、今まさに求められている。
今回の震災では、多くの善意が日本赤十字社や共同募金会、社会福祉協議会、報道機関や大きな企業の「厚生文化事業団」等に寄せられている。
こうした団体におかれては、私たち社会福祉士の活動について、応援をいただけるよう、この場を借りて呼びかけたい。
またこうした団体から、応援をいただけるとなれば、今度は一人ひとりの社会福祉士が、被災地で「いい仕事」をすることが求められることは、言うまでもない。
「いい仕事」を積み重ね、社会福祉士(広くソーシャルワーカー)が社会的に専門職として認知されること、そして何より被災された方々のウェルビーイングに一役買うことになるのであれば、一人のソーシャルワーカーとしてこの上ない喜びである。
震災、という悲しい現実を受けとめつつ、「生活の復興」「ウェルビーイングの復興」、さらには震災前よりもよくなったと言われる社会となることの一翼を、ソーシャルワーカーが担えれば、と願ってやまない。
独立型社会福祉士(スクールソーシャルワーカー 他)
社会福祉士 芦田 正博
社会福祉士 芦田 正博
山元町の養護老人ホーム「梅香園」。海岸がすぐで、ここでは約70人の高齢者・職員が亡くなっていると、常磐線山下駅前の「Yショップ」のお父さんから伺った。このホームに食材を納入していたとのことで、「ホームの職員とは全員顔見知りだった。お年寄りも半分は顔を知っていた。だからねぇ・・・」と言葉を詰まらせた。
(撮影:2011年9月19日)


