特集

連載 「あなたにもできる介護起業」
全国訪問介護協議会会長の荒井信雄さんによる介護起業指南をお伝えします。

第1回 成功の鉄則

2011年5月20日
 はじめに
 はじめまして。さくらケア代表取締役・荒井信雄です。これから、「あなたにもできる介護起業」を執筆していきますので、よろしくお願いします。

 起業で成功する鉄則は、第一に、起業する業界が拡大市場であること。いくら好きで知識があっても、縮小していく業界を選べば苦労しても成果を出しづらいでしょう。第二に、起業にかかわるリスクが小さい事業形態を採用することです。どんなビジネスでも完全なる成功はないので、その損失を最小限に抑える必要があります。また、タイミングも重要になってきます。

 拡大を続ける介護市場
 はじめに、介護市場がどれほど拡大するのか、高齢者人口の推計から見てみましょう(図1)。

図1 世代別高齢者数の将来推計
厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会第71回 平成23年2月7日 資料3:介護保険制度を取り巻く状況 より改変

 まず、高齢者人口の推計を見てみましょう(図1)。2015年に「第一次ベビーブーム世代」が65歳を迎え、その10年後に高齢者人口のピークに達した後は微増が続くとみられています。日本はこれから、高齢化の「最後の急な上り坂」の時期に入るのです。

図2 サービス受給者数の推移
厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会第71回 平成23年2月7日 資料3:介護保険制度を取り巻く状況 より改変

 続いて、サービス受給者の推移です(図2)。特に、居宅サービスの伸びが大きいのですが、これは、一人あたりの介護サービス費が高価なために施設を増やさない、国の施策にも関係しています。

図3 介護保険の給付費の伸びの推移
厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会第71回 平成23年2月7日 資料3:介護保険制度を取り巻く状況 より改変

 そして、介護保険制度から給付される費用は年々増大し、2010年度では約7兆円(10年前の施行時の約2倍)を超える勢いです(図3)。厚生労働省介護制度改革本部資料によると、介護保険適用ビジネスは、2025年で少なくとも19兆円になると予測されるビッグマーケットなのです。

 介護起業におけるリスク
 介護サービスは、施設サービスと居宅サービスに分けられます。施設サービスの起業には莫大な資金が必要ですから、少なくとも脱サラしていきなり挑戦することは考えにくいと思います。

 居宅サービスにも数種類ありますが、発生する固定経費が抑えられる訪問介護事業こそ、最もリスクが小さい事業形態でしょう。しかも、エンドユーザーである利用者さんの来社は少ないため一等地に事業所を構える必要もなく、初期費用も100万円以内に抑えることができます。もちろん維持費用は発生しますが、開業したとたんに何千万円もの損失に泣かされる事態は避けられるのです。

 起業するなら、今
 このように、①拡大市場、②小リスク、という起業成功の鉄則二要素を併せ持つ訪問介護事業は、起業に最適だと私は考えます。さらに、軌道に乗った後に、通所介護や高齢者住宅などを開設し、事業を拡大していくことも可能です。

 また、現状の制度では、設置条件を満たせば開業できます。しかし、今後はサービス事業者の指定権者となる市町村が、都道府県による居宅サービス事業者の指定にあたって協議を求めることができる「居宅サービスにあたっての市町村協議制」が導入される可能性があります。市町村の計画を事業者数が上回る場合などには、事実上の総量規制が行われるでしょう。

 やはり、起業するなら「訪問介護事業」で、そして、「今」なのです。

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荒井 信雄 (あらい のぶお)
株式会社さくらケア代表取締役社長。
全国訪問介護協議会会長。
大学卒業後、アパレル企業、大手介護企業を経て、株式会社さくらケアを起業。さくらケア上町居宅介護支援・訪問介護事務所などを運営するほか、訪問介護企業支援、訪問介護収益改善支援、訪問介護M&A支援にもあたる。著書に『今しかできない介護起業』(税務経理協会、共著)、『訪問介護事業・居宅介護支援事業成功の法則』(税務経理協会)。

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