特集

平成30年度介護保険制度改正
「介護保険制度改正」は、3年間隔で制度内容を見直すこととされており、次の制度改正は平成30年度に予定されています。wel.ne.jpでは平成30年度介護保険制度改正の見直し内容などの特集記事を随時、掲載していきます。

第2回 介護保険制度の見直しに関する意見について(その2)

2. 給付のあり方
2017年3月15日

平成27年度の介護保険制度改正時に、市町村が地域の実情に応じ、効率的かつ効果的にサービスを提供できるよう、介護予防訪問介護と介護予防通所介護を地域支援事業(総合事業)に移行する見直しが行われ、平成29年4月までに全ての市町村で実施される予定です。


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厚生労働省HP 「介護予防・日常生活支援総合事業の基本的考え方」から転載


参考サイト
厚生労働省HP 介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方

地域支援事業(総合事業)の実施に伴い、市町村が地域の実情に応じて、独自の訪問型サービスを提供することが可能となりました。(ホームヘルパーの資格がない方でも、生活援助型のサービスを提供することが可能になる等)

なお、地域支援事業(総合事業)のサービスを利用できる方は、基本チェックリストにて事業対象者と判定された方、もしくは、要支援1、2の方とされており、要介護者は総合事業サービスを利用することが出来ません。

一方、要介護状態が軽度(要介護1、2)の方は、生活援助型のサービス利用が多いことを踏まえて、要介護状態が軽度(要介護1、2)の方も、地域支援事業(総合事業)に含めるべきではないかとの意見が示されました。


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第66回社会保障審議会・介護保険部会(平成28年10月12日開催)
「参考資料1 軽度者への支援のあり方(参考資料)」から転載


上記意見に対して、まずは、介護予防訪問介護と介護予防通所介護の地域支援事業(総合事業)への移行を着実に進め、事業の把握・検証を行った上で、改めて検討を行うことが適当であるといった意見等が示されており、平成30年度から要介護状態が軽度(要介護1、2)の方を、地域支援事業(総合事業)への移行する案は見送られることが示されています。

ただし、介護保険サービスを提供する人材不足が喫緊の課題となる中、訪問介護における生活援助について、要介護度に関わらず、生活援助を中心にサービス提供を行う場合の緩和された人員基準の設定等を平成30年度介護報酬改定時に検討することが意見として示されました。

参考サイト
第66回社会保障審議会・介護保険部会資料(平成28年10月12日開催)
参考資料1 軽度者への支援のあり方(参考資料)



【福祉用具】
福祉用具は、被保険者が居宅において自立した日常生活の便宜を図り、生活機能の維持・改善又は状態の悪化の防止や介護者の負担軽減を図る役割を担っています


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第66回社会保障審議会・介護保険部会(平成28年10月12日開催)
「参考資料2 福祉用具・住宅改修(参考資料)」から転載


福祉用具における価格の設定は事業者の裁量によることから、同じ商品であっても、非常に高価な価格請求が行われているケースが存在するなどの課題があります。

上記課題への対応として、国が商品の貸与価格の全国的な状況を把握し、ホームページに商品の全国平均貸与価格を公表する仕組みを設けることが意見として示されています。

また、被保険者が適切な福祉用具を選択できるようにするため、福祉用具専門相談員は、商品の全国平均貸与価格等を説明することや機能・価格帯の異なる複数の商品を提示することを義務付けられることも意見として提示されています。

併せて、福祉用具専門相談員が作成する福祉用具貸与計画書をケアマネジャーにも交付することが適切であるとの意見も示されています。

さらに、商品の貸与価格に一定の上限を設けることも意見として提示されています。

なお、平成26年3月26日から公益財団法人テクノエイド協会のホームページにおいて、福祉用具貸与価格情報を閲覧する仕組みが構築されています。


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第66回社会保障審議会・介護保険部会(平成28年10月12日開催)
「参考資料2 福祉用具・住宅改修(参考資料)」から転載


【住宅改修】
住宅改修は、段差の解消や手すりの設置などを通じて、被保険者の自立を支援する役割を担っています。


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第66回社会保障審議会・介護保険部会(平成28年10月12日開催)
「参考資料2 福祉用具・住宅改修(参考資料)」から転載


住宅改修において、住宅改修事業者により、価格設定・施工技術・施工水準等のバラツキが大きいなどの課題があります。

上記課題への対応として、被保険者が市町村に対して、住宅改修の事前申請を行う際に提出する見積書類の様式(改修内容、材料費、施工費等の内訳が明確に把握できるもの)を国が示すよう、意見として示されています。

また、複数の住宅改修事業者から見積もりを取るようにケアマネジャーから被保険者に対して説明することや住宅改修における市町村の好事例を国が広く紹介すること等も意見として提示されています。

参考サイト
第66回社会保障審議会・介護保険部会資料(平成28年10月12日開催)
参考資料2 福祉用具・住宅改修(参考資料)

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