特集

平成30年度介護保険制度改正
「介護保険制度改正」は、3年間隔で制度内容を見直すこととされており、次の制度改正は平成30年度に予定されています。wel.ne.jpでは平成30年度介護保険制度改正の見直し内容などの特集記事を随時、掲載していきます。

第1回 介護保険制度の見直しに関する意見について(その1)

3. 地域包括ケアシステムの深化・推進のための基盤整備等
2017年2月13日

障がい者が高齢になり介護保険の被保険者となった際に、これまでサービス提供を受けていた障がい福祉サービス事業所が介護保険サービス事業所としての指定を受けていない場合、これまでとは別のサービス事業所を利用しなければならない課題がありました。

上記課題への対応として、介護保険サービスの一類型として新たに「共生型サービス」を設け、障がい福祉サービス事業所が介護保険事業所の指定を受けやすくするための見直しを行うことが意見として提示されており、具体的な指定基準等のあり方については、平成30年度介護保険報酬改定時に検討することとなっています。

また、相談支援専門員とケアマネジャーが支援に必要な情報を共有できるよう、連携を推進していく必要があることが意見として提示されています。

なお、高齢障がい者の介護保険サービスの円滑な利用に関する内容について、利用者負担のあり方等も踏まえた意見が提示されています。


(クリックすると画像が拡大)
資料:第65回社会保障審議会・介護保険部会(平成28年9月30日開催)
「参考資料3 ニーズに応じたサービス内容の見直し(参考資料)」から転載


参考サイト
第65回社会保障審議会・介護保険部会資料(平成28年9月30日開催)
参考資料3 ニーズに応じたサービス内容の見直し(参考資料)



急増する介護保険サービスのニーズに対応するため、介護職員を確保することが必要となります。介護職員の安定的な確保や定着を図るため、平成29年度介護報酬改定時で対応が図られる予定となっていますが、更に現場で働く介護職員の生産性の向上や業務効率化を目的として以下の取り組みに関する意見が示されています。

○生産性向上
介護現場におけるロボット技術の活用により、介護の業務負担の軽減を図ります。


(クリックすると画像が拡大)
資料:第63回社会保障審議会・介護保険部会(平成28年9月7日開催)
「参考資料1 介護人材の確保(生産性向上・業務効率化等)(参考資料)」から転載



(クリックすると画像が拡大)
資料:第63回社会保障審議会・介護保険部会(平成28年9月7日開催)
「参考資料1 介護人材の確保(生産性向上・業務効率化等)(参考資料)」から転載


○業務効率化
介護記録の作成・保管等について、ICTを通じて業務の効率化を目指しています。
なお、居宅サービス事業所における業務効率化(ペーパーレス事業)について、平成28年度にモデル事業が実施され、モデル事業の結果を踏まえて、今後の見直しに関する情報が提示される予定です。


(クリックすると画像が拡大)
資料:第63回社会保障審議会・介護保険部会(平成28年9月7日開催)
「参考資料1 介護人材の確保(生産性向上・業務効率化等)(参考資料)」から転載



(クリックすると画像が拡大)
資料:第63回社会保障審議会・介護保険部会(平成28年9月7日開催)
「参考資料1 介護人材の確保(生産性向上・業務効率化等)(参考資料)」から転載


参考サイト
第63回社会保障審議会・介護保険部会資料(平成28年9月7日開催)
参考資料1 介護人材の確保(生産性向上・業務効率化等)(参考資料)



介護保険制度は制度創設以来、在宅ケアを推進してきたこともあり、在宅サービスの供給量(事業所数)は拡大しており、その結果、地域における訪問介護・通所介護等の供給量が多いと判断している市町村もあることが意見として挙げられています。

地域のニーズに応じて、適切なサービスが供給されているかを確認することが介護保険の運営主体である市町村にとって大切な役割となりますが、その一方、訪問介護・通所介護サービスを提供する事業所の指定は市町村ではなく都道府県が行っています。

都道府県がサービス事業所の指定を行う際、市町村が関与する仕組みとして「市町村協議制」がありますが、「市町村協議制」を実施した保険者は平成26年度で3保険者に留まっており、都道府県及び市町村がより「市町村協議制」を活用できるようにするため、国が技術的な支援(ガイドラインの発出等)を行うことが求められています。

また、通所型サービスの供給量が増加する中、「短期入所生活介護(ショートステイ)」や「地域密着型通所介護」のサービスについて、地域のサービス供給量を鑑みて、サービス指定を拒否できる仕組みがありません。

上記の状況を踏まえて、「短期入所生活介護(ショートステイ)」を「市町村協議制」の範囲に加えることや「地域密着型通所介護」を小規模多機能型居宅介護等の普及のために市町村が事業所の指定をしない仕組みを設けることが意見として提示されています。


(クリックすると画像が拡大)
資料:第64回社会保障審議会・介護保険部会(平成28年9月23日開催)
「参考資料3 サービス供給への関与のあり方(参考資料)」から転載し、吹き出しを追記


参考サイト
第64回社会保障審議会・介護保険部会資料(平成28年9月23日開催)
参考資料3 サービス供給への関与のあり方(参考資料)



高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を送ることができるようにするための環境のひとつとして、有料老人ホームが選択肢として上げられます。
有料老人ホームについて、老人福祉法上、都道府県等に対する届出が義務づけられていますが、未届の有料老人ホームが増加しているほか、事業の適正運営の確保や入居者保護の充実が求められています。

上記課題への対応として、以下の意見が挙げられています。

<有料老人ホームの入居者保護の充実等>
  • 前払金の保全措置の対象拡大。

  • 事業倒産のおそれがあるなど入居者の安定を図るために都道府県等による他の住まいへの円滑な入居支援の措置。

  • 都道府県等に作成・公表を求めている有料老人ホームの情報一覧表の公開の充実。

  • ソーシャルブックマークに登録する
  • はてなブックマークに登録