「特集記事:第1回 平成27年度介護保険制度の改正内容について」
当特集記事では、特に介護保険サービス利用者、介護保険サービス事業者、市町村等に影響の大きい改正内容を中心に、「平成27年度介護保険制度改正」の詳細内容を解説していきます。
前回の特集記事に引き続いて、今回も「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の事務処理に関する内容を解説します。
<今回掲載内容>
介護保険サービス事業者の請求事務の変更概要
「給付管理票」及び「介護予防支援費/介護予防ケアマネジメント費」の取り扱い
市町村が国保連合会に委託できる業務の範囲
<前回掲載内容(2015年1月15日掲載)>
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」における事務処理の概要
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」におけるサービス種類の考え方
「市町村版 介護予防・日常生活支援総合事業単位数表」マスタの利用
事務連絡資料のリンク先)
介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(平成26年12月26日事務連絡)
「平成27年度介護保険制度改正」で予定されている「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の概要は、以下の特集記事を参照してください。
「特集記事:第4回 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の概要について(その1)」
「特集記事:第5回 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の概要について(その2)」
介護保険サービス事業者の請求事務の変更概要
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の請求書、請求明細書が新たに追加となります。追加となる様式は、以下の通りです。
また、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」における「サービス利用票別表」「給付管理票」「請求明細書」の記載例が示されています。
代表的な記載例における留意事項等を以下に紹介します。
<厚生労働省から提示された記載例1>
要支援者(要支援1)が「介護予防サービス(63:介護予防訪問看護)」と「新しい介護予防・日常生活支援総合事業(A1:訪問型サービス(みなし))」を受けた場合の記載例
主なポイント
・「サービス利用票別表」と「給付管理票」には、「介護予防サービス」と「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の内容を記載する。
・「サービス利用票別表」の区分支給限度基準額と「給付管理票」の支給限度基準額は、要支援1の区分支給限度額(5,003単位)を記載する。
・「給付管理票」の給付計画単位数合計について、要支援1の区分支給限度額(5,003単位)を超えている場合は、返戻となる。
・「A1:訪問型サービス(みなし)」の単位数や給付率は全国一律の値を利用する。
・「サービス利用票別表」の区分支給限度基準額と「給付管理票」の支給限度基準額は、要支援1の区分支給限度額(5,003単位)を記載する。
・「給付管理票」の給付計画単位数合計について、要支援1の区分支給限度額(5,003単位)を超えている場合は、返戻となる。
・「A1:訪問型サービス(みなし)」の単位数や給付率は全国一律の値を利用する。
<厚生労働省から提示された記載例5>
総合事業対象者が「新しい介護予防・日常生活支援総合事業(A3:訪問型サービス(保険者独自/定率))サービス」を受けた場合の記載例(計画単位数を超過した場合)
主なポイント
・保険者独自サービスの場合(※)、サービス内容、サービスコード、給付率等、市町村が指定した内容を記載する。
・「サービス利用票別表」の区分支給限度基準額(単位)は、目安となる要支援1の区分支給限度額(5,003単位)を記載する。ただし、計画単位数が要支援1の基準額(5,003単位)を超える場合は、市町村が定める支給限度基準額(要支援2の区分支給限度基準額(10,473単位)以下の額)を上限として明細部分の計算、記載を行う。
・「給付管理票」の支給限度基準額は、要支援1の区分支給限度額(5,003単位)を記載する。
・「給付管理票」の給付計画単位数合計は、市町村が定める支給限度基準額(要支援2の区分支給限度基準額(10,473単位)以下の額)を超える場合、返戻となる。
(給付管理票の給付計画単位数合計の目安は、要支援1の基準額(5,003単位)とする。)
※以下のサービス種類コードに該当するものが保険者独自サービスとなる。
「A2:訪問型サービス(独自)」
「A3:訪問型サービス(独自/定率)」
「A4:訪問型サービス(独自/定額)」
「A6:通所型サービス(独自)」
「A7:通所型サービス(独自/定率)」
「A8:通所型サービス(独自/定額)」
「A9:その他の生活支援サービス(配食/定率)」
「AA:その他の生活支援サービス(配食/定額)」
「AB:その他の生活支援サービス(見守り/定率)」
「AC:その他の生活支援サービス(見守り/定額)」
「AD:その他の生活支援サービス(その他/定率)」
「AE:その他の生活支援サービス(その他/定額)」
詳細は、以下の特集記事を参照して下さい。
「特集記事:第6回 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の事務処理について(その1)」
・「サービス利用票別表」の区分支給限度基準額(単位)は、目安となる要支援1の区分支給限度額(5,003単位)を記載する。ただし、計画単位数が要支援1の基準額(5,003単位)を超える場合は、市町村が定める支給限度基準額(要支援2の区分支給限度基準額(10,473単位)以下の額)を上限として明細部分の計算、記載を行う。
・「給付管理票」の支給限度基準額は、要支援1の区分支給限度額(5,003単位)を記載する。
・「給付管理票」の給付計画単位数合計は、市町村が定める支給限度基準額(要支援2の区分支給限度基準額(10,473単位)以下の額)を超える場合、返戻となる。
(給付管理票の給付計画単位数合計の目安は、要支援1の基準額(5,003単位)とする。)
※以下のサービス種類コードに該当するものが保険者独自サービスとなる。
「A2:訪問型サービス(独自)」
「A3:訪問型サービス(独自/定率)」
「A4:訪問型サービス(独自/定額)」
「A6:通所型サービス(独自)」
「A7:通所型サービス(独自/定率)」
「A8:通所型サービス(独自/定額)」
「A9:その他の生活支援サービス(配食/定率)」
「AA:その他の生活支援サービス(配食/定額)」
「AB:その他の生活支援サービス(見守り/定率)」
「AC:その他の生活支援サービス(見守り/定額)」
「AD:その他の生活支援サービス(その他/定率)」
「AE:その他の生活支援サービス(その他/定額)」
詳細は、以下の特集記事を参照して下さい。
「特集記事:第6回 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の事務処理について(その1)」
さらに「サービス利用票別表」の記載事項で、特に注意すべき内容は次の通りです。
特に注意すべき記載事項
「区分支給限度基準額(単位)」
目安となる要支援1の区分支給限度額(5,003単位)を記載する。
「区分支給限度基準を超える単位数」
「市町村が定める支給限度基準額(要支援2の区分支給限度基準額(10,473単位)以下の額)」を超えた値(自己負担に相当する値)を記載する。
「区分支給限度基準内単位数」
「市町村が定める支給限度基準額(要支援2の区分支給限度基準額(10,473単位)以下の額)」を記載する。
目安となる要支援1の区分支給限度額(5,003単位)を記載する。
「区分支給限度基準を超える単位数」
「市町村が定める支給限度基準額(要支援2の区分支給限度基準額(10,473単位)以下の額)」を超えた値(自己負担に相当する値)を記載する。
「区分支給限度基準内単位数」
「市町村が定める支給限度基準額(要支援2の区分支給限度基準額(10,473単位)以下の額)」を記載する。
「給付管理票」及び「介護予防支援費/介護予防ケアマネジメント費」の取り扱い
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」において、利用するサービスによって、「給付管理票」の提出有無や「介護予防支援費/介護予防ケアマネジメント費」の請求先が異なります。
基本的な考え方は、以下の通りです。
介護予防支援費/介護予防ケアマネジメント費の請求先
・要支援者が「介護予防給付」の限度額管理対象サービスを利用している場合は、「介護予防支援費」として、国保連合会へ請求する。(「介護予防給付」と「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」のサービスを両方利用している場合も、「介護予防支援費」の扱いとなる)
・要支援者が「介護予防給付」の限度額管理対象サービスを利用していない場合(要支援者が「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の限度額管理対象サービスのみを利用している場合等)は、「介護予防ケアマネジメント費」として、保険者へ請求する。
ただし、「介護予防ケアマネジメント費」の請求事務について、例外的に国保連合会への委託も可能とされているため、市町村が国保連合会に請求事務を委託している場合は、国保連合会へ請求する。
・総合事業対象者が「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」のサービスを利用している場合は、「介護予防ケアマネジメント費」として、保険者へ請求する。
※総合事業対象者の場合、要支援者とは異なり「介護予防ケアマネジメント費」の請求事務を国保連合会に委託することが出来ないため、一律、保険者へ請求することになる。
・要支援者が「介護予防給付」の限度額管理対象サービスを利用していない場合(要支援者が「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の限度額管理対象サービスのみを利用している場合等)は、「介護予防ケアマネジメント費」として、保険者へ請求する。
ただし、「介護予防ケアマネジメント費」の請求事務について、例外的に国保連合会への委託も可能とされているため、市町村が国保連合会に請求事務を委託している場合は、国保連合会へ請求する。
・総合事業対象者が「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」のサービスを利用している場合は、「介護予防ケアマネジメント費」として、保険者へ請求する。
※総合事業対象者の場合、要支援者とは異なり「介護予防ケアマネジメント費」の請求事務を国保連合会に委託することが出来ないため、一律、保険者へ請求することになる。
給付管理票の提出
・「介護予防給付」や「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の限度額管理対象サービスを利用している場合は、「給付管理票」を国保連合会へ提出する。
(国保連合会で支給限度額の確認を行うため、「給付管理票」は国保連合会へ提出する必要がある。ただし、請求先は、上記に記載している内容に従い、国保連合会請求又は保険者請求となることに注意が必要。)
(国保連合会で支給限度額の確認を行うため、「給付管理票」は国保連合会へ提出する必要がある。ただし、請求先は、上記に記載している内容に従い、国保連合会請求又は保険者請求となることに注意が必要。)
市町村が国保連合会に委託できる業務の範囲
市町村は指定事業者からの「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」に伴う審査・支払等の事務処理について、国保連合会に委託することができることを前回の特集記事で解説しましたが、各事務において、市町村が国保連合会へ委託できる業務の範囲について、以下の資料が提示されています。
まとめ
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」における介護保険サービス事業者の事務処理内容等を解説しました。
介護保険サービス事業者は、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」のサービスを提供した際は、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」として新たに規定された「請求書」、「請求明細書」を利用することになります。
その際、保険者独自サービスの場合、サービス種類毎の単位数等は、市町村が規定した内容に合わせて、請求事務を行う必要があります。(前回の特集記事で解説した「市町村版 介護予防・日常生活支援総合事業単位数表マスタ」を利用することで請求事務を円滑に行うことが可能となります。)
さらに、総合事業対象者の場合、「サービス利用票別表」の区分支給限度基準額等、目安となる要支援1の区分支給限度額(5,003単位)を記載することとされていますが、計画単位数が要支援1の基準額(5,003単位)を超える場合は、市町村が定める支給限度基準額(要支援2の区分支給限度基準額(10,473単位)以下の額)を上限として明細部分の計算、記載を行うため、注意が必要となります。
市町村は、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」において、一部事務を国保連合会に委託することが可能とされています。「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の実施までに、国保連合会と委託範囲等を調整する必要があります。
※当特集記事は平成26年12月26日に厚生労働省から都道府県介護保険担当主管課に対して提示された事務連絡(「介護保険事務処理システム変更に係る参考資料」)を基に作成をしています。今後、介護保険制度改正の本施行までに、記載内容が異なる可能性があります。
添付
介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(平成26年12月26日事務連絡)
II_資料1 国保連合会へ審査支払業務を委託した場合の介護予防・日常生活支援総合事業の事務処理の流れについて - PDFファイル
II_資料8 介護予防・日常生活支援総合事業における請求明細書と給付管理票の提出パターン - PDFファイル
IV_資料2 介護給付費請求書・明細書及び給付管理票様式体系一覧 - PDFファイル
IV_資料4 介護給付費請求書・明細書及び給付管理票記載例 - PDFファイル