特集

介護保険制度改正について
平成26年6月に介護保険法の改正案が成立し、平成27年4月以降、順次施行されます。 wel.ne.jpでは介護保険制度の改正内容や今後の動向などの特集記事を随時、掲載していきます。

第6回 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の事務処理について(その1)

2015年1月15日
 「地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化」を目指して、「平成27年度介護保険制度改正」が行われます。(「平成27年度介護保険制度改正」の概要は、以下の特集記事を参照して下さい。)
「特集記事:第1回 平成27年度介護保険制度の改正内容について」

 当特集記事では、特に介護保険サービス利用者、介護保険サービス事業者、市町村等に影響の大きい改正内容を中心に、「平成27年度介護保険制度改正」の詳細内容を解説していきます。
 
 平成26年12月26日に厚生労働省から都道府県介護保険担当主管課に対して提示された事務連絡(「介護保険事務処理システム変更に係る参考資料の送付」)を基に、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の事務処理を複数回の記事に分けて解説します。

<今回掲載内容>
 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」における事務処理の概要
 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」におけるサービス種類の考え方
 「市町村版 介護予防・日常生活支援総合事業単位数表」マスタの利用

事務連絡資料のリンク先) 
介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(平成26年12月26日事務連絡)

 「平成27年度介護保険制度改正」で予定されている「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の概要は、以下の特集記事を参照してください。
「特集記事:第4回 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の概要について(その1)」
「特集記事:第5回 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の概要について(その2)」

「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」における事務処理の概要


 指定事業者からの介護給付費請求に伴う審査・支払の事務処理は市町村が行うこととされていますが、市町村の事務処理負担を軽減するため、審査・支払の事務処理を国保連合会に委託することが可能です。

 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の審査・支払の事務処理も「介護給付」や「予防給付」と同様に、国保連合会に委託することができます。

 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の審査・支払を国保連合会に委託した際の事務処理に関する主なポイントは以下の通りです。

指定事業者によるサービス提供については、国保連合会を利用した審査・支払の委託を可能とする。


(クリックすると画像が拡大)
サービス類型毎の実施方法について


市町村は以下の情報を国保連合会に送付する。
・総合事業開始月に関する情報
(保険者異動連絡票情報)
・市町村が独自に規定するサービス内容
(介護予防・日常生活支援総合事業サービスコード異動連絡票情報)
・「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の受給者情報
(受給者異動連絡票情報)
・「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の指定事業者情報
(事業所異動連絡票情報)

指定事業者は、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の請求書や請求明細書を利用し、国保連合会に対して請求の事務処理を行う。


 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の審査支払の流れについて、厚生労働省から以下のイメージ図が示されています。


(クリックすると画像が拡大)
資料:介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(平成26年12月26日事務連絡)「II_資料1 国保連合会へ審査支払業務を委託した場合の介護予防・日常生活支援総合事業の事務処理の流れについて」から転載し、吹き出しを追加


 上記資料で示している内容で、赤枠で囲っている部分が主に指定事業者に影響のある内容、青枠で囲っている部分が市町村に影響のある内容となります。

「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」におけるサービス種類の考え方


 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」のサービス種類について、「訪問型サービス」「通所型サービス」「その他の生活支援サービス」「介護予防ケアマネジメント」の単位で単位数や利用者負担割合等に関する考え方が提示されています。

(1)訪問型サービス
・サービス種類コードは、以下の4種類とする。
 「A1:訪問型サービス(みなし)」
 「A2:訪問型サービス(独自)」
 「A3:訪問型サービス(独自/定率)」
 「A4:訪問型サービス(独自/定額)」
 
・「A2:訪問型サービス(独自)」、「A3:訪問型サービス(独自/定率)」「A4:訪問型サービス(独自/定額)」のサービス種類について、単位数や利用者負担割合等を市町村が規定し、「介護予防・日常生活支援総合事業サービスコード異動連絡票情報」として国保連合会へ送付する。

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資料:介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(平成26年12月26日事務連絡)「II_資料3 介護予防・日常生活支援総合事業におけるサービス種類の考え方について」から転載し、吹き出しを追加


(2)通所型サービス
・サービス種類コードは、以下の4種類とする。
 「A5:通所型サービス(みなし)」
 「A6:通所型サービス(独自)」
 「A7:通所型サービス(独自/定率)」
 「A8:通所型サービス(独自/定額)」

・「A6:通所型サービス(独自)」、「A7:通所型サービス(独自/定率)」「A8:通所型サービス(独自/定額)」のサービス種類について、単位数や利用者負担割合等を市町村が規定し、「介護予防・日常生活支援総合事業サービスコード異動連絡票情報」として国保連合会へ送付する。

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資料:介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(平成26年12月26日事務連絡)「II_資料3 介護予防・日常生活支援総合事業におけるサービス種類の考え方について」から転載し、吹き出しを追加


(3)その他の生活支援サービス
・サービス種類コードは、以下の6種類とする。
 「A9:その他の生活支援サービス(配食/定率)」
 「AA:その他の生活支援サービス(配食/定額)」
 「AB:その他の生活支援サービス(見守り/定率)」
 「AC:その他の生活支援サービス(見守り/定額)」
 「AD:その他の生活支援サービス(その他/定率)」
 「AE:その他の生活支援サービス(その他/定額)」

・「A9:その他の生活支援サービス(配食/定率)」~「AE:その他の生活支援サービス(その他/定額)のサービス種類について、単位数や利用者負担割合等を市町村が規定し、「介護予防・日常生活支援総合事業サービスコード異動連絡票情報」として国保連合会へ送付する。


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資料:介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(平成26年12月26日事務連絡)「II_資料3 介護予防・日常生活支援総合事業におけるサービス種類の考え方について」から転載し、吹き出しを追加


(4)介護予防ケアマネジメント
 ・サービス種類コードは、以下の通りとする。
  「AF:介護予防ケアマネジメント」

 ・単位数と地域単価を市町村が規定し、「介護予防・日常生活支援総合事業サービスコード異動連絡票情報」として国保連合会へ送付する。


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資料:介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(平成26年12月26日事務連絡)「II_資料3 介護予防・日常生活支援総合事業におけるサービス種類の考え方について」から転載し、吹き出しを追加


 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」における地域単価設定の考え方については、以下の資料が示されています。

(クリックすると画像が拡大)
資料:介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(平成26年12月26日事務連絡)「II_資料3 介護予防・日常生活支援総合事業におけるサービス種類の考え方について」から転載


「市町村版介護予防・日常生活支援総合事業単位数表マスタ」の利用


 「介護給付」や「予防給付」のサービス単位数等は、国が基準を定めており、国が定めた基準に基づいて、指定事業者は請求書や請求明細書に記載し、介護給付費の請求を行います。

 上記に記載している「介護給付費単位数」の情報を収載した標準マスタ(「介護給付費単位数表標準マスタ」)は、国保中央会から有償で提供されており、当マスタを利用することで、指定事業者は円滑に介護給付費の請求を行うことが可能となっています。
 
 しかし、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」のサービス単位は、国が定める額(「予防給付」の単位)を上限とし、サービスの種類や内容に応じて、市町村が定めることが可能とされています。

 そのため、市町村は国保連合会や指定事業者に対して、「市町村版 介護予防・日常生活支援総合事業単位数表マスタ」に関する情報を提供する必要があります。

 指定事業者は、市町村から提示された「市町村版 介護予防・日常生活支援総合事業単位数表マスタ」を利用することで、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の請求事務を円滑に行うことが可能となります。

 「介護予防・日常生活支援総合事業単位数表マスタ」は主に市町村のホームページに掲載される想定となっています。「介護予防・日常生活支援総合事業単位数表マスタ」の周知方法について、以下の資料が示されています。

(クリックすると画像が拡大)
資料:介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(平成26年12月26日事務連絡)「IV_資料10 市町村版介護予防・日常生活支援総合事業単位数マスタインタフェース」から転載


 市町村から関係機関への「市町村版 介護予防・日常生活支援総合事業単位数表マスタ」や「介護予防・日常生活支援総合事業費サービスコード異動連絡票」等の流れについて、以下の資料が示されています。

(クリックすると画像が拡大)
資料:介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(平成26年12月26日事務連絡)「IV_資料10 市町村版介護予防・日常生活支援総合事業単位数マスタインタフェース」から転載


まとめ


 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」における事務処理の概要や「市町村版介護予防・日常生活支援総合事業単位数表マスタ」の利用等に関する内容を解説しました。

 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」と「介護給付」「予防給付」の請求事務での大きな違いとして「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」のサービス単位を市町村が定めることが挙げられます。

 「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」を提供する事業者は、市町村から提示される「市町村版介護予防・日常生活支援総合事業単位数表マスタ」の内容を確認した上で、請求書や請求明細書を作成する必要があります。

 市町村は、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」のサービス内容を踏まえて、サービス単位を定め、「市町村版介護予防・日常生活支援総合事業単位数表マスタ」を作成し、指定事業者や国保連合会に情報を提供する必要があります。

※当特集記事は平成26年12月26日に厚生労働省から都道府県介護保険担当主管課に対して
 提示された事務連絡(「介護保険事務処理システム変更に係る参考資料」)を基に作成をしています。
 今後、介護保険制度改正の本施行までに、記載内容が異なる可能性があります。


添付


介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(平成26年12月26日事務連絡)
II_資料1 国保連合会へ審査支払業務を委託した場合の介護予防・日常生活支援総合事業の事務処理の流れについて - PDFファイル
II_資料3介護予防・日常生活支援総合事業におけるサービス種類の考え方について - PDFファイル
IV_資料10 市町村版介護予防・日常生活支援総合事業単位数マスタインタフェース - PDFファイル

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