「特集記事:第1回 平成27年度介護保険制度の改正内容について」
当特集記事では、特に介護保険サービス利用者、介護保険サービス事業者、市町村等に影響の大きい改正内容を中心に、「平成27年度介護保険制度改正」の詳細内容を解説していきます。
全国介護保険担当課長会議(平成26年11月10日開催)で提示された、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン案」を基に「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の概要を、2つの記事に分けて解説します。
<今回掲載内容>
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」のガイドライン概要
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の構成内容、事業内容
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」で提供されるサービスの類型
<次回掲載内容(12月中旬頃、掲載予定)>
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」におけるサービス利用の流れ
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の枠組み(実施方法、サービス基準等)
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の円滑な移行
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン案」のリンク先)
全国介護保険担当課長会議(平成26年11月10日開催)
〔再掲〕介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案(概要)
〔再掲〕介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン(案)
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」のガイドライン概要
「平成24年度介護保険制度改正」において、地域支援事業の中に「介護予防・日常生活支援総合事業」が創設されました。(概要は以下のサイトを参照して下さい。)
「介護予防・日常生活支援総合事業の手引き」について
「平成27年度介護保険制度改正」では、「平成24年度介護保険制度改正」で創設された「介護予防・日常生活支援総合事業」を発展的に見直し、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」として、平成29年4月までに全ての市町村で実施することが定められています。
市町村による「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の円滑な実施を支援するために、国は「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」ガイドライン(指針)を策定しています。
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」ガイドライン(指針)は、7章構成となっています。
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」ガイドライン(指針)で示されている内容で、特に重要となるポイントを、次章以降で解説します。
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の構成内容、事業内容
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」ガイドライン(指針)の第1章で、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の目的や考え方、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の内容や対象者等に関する内容が示されています。
第1章に記載されている内容のうち、特に重要なポイントは以下の通りです。
全国一律の基準(サービスの種類・内容・人員基準・運営基準・単価等)となっている「予防給付」のうち、「訪問介護」「通所介護」を、平成29年度末までに「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」に移行する。
「訪問介護」「通所介護」以外のサービス(訪問看護、福祉用具等)は、引き続き「予防給付」によるサービス提供を継続する。
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」で実施する事業は、「介護予防・生活支援サービス事業」(※1)、「一般介護予防事業」(※2)とする。
※1 「要支援者」及び「介護予防・生活支援サービス事業対象者」が利用可能
※2 「65歳以上の高齢者」が利用可能
※1 「要支援者」及び「介護予防・生活支援サービス事業対象者」が利用可能
※2 「65歳以上の高齢者」が利用可能
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」では「2次予防事業対象者把握事業」(基本チェックリストの配布等)は行わない。市町村や地域包括支援センターで相談に行われた対象者に対して、基本チェックリストを使用し、「介護予防・生活支援サービス事業対象者」の判断を行う。
「介護予防・生活支援サービス事業」を利用する人を「介護予防・生活支援サービス事業対象者」、「一般介護予防事業」を利用する人を「一般高齢者等」と呼称する。
(「1次予防事業対象者」「2次予防事業対象者」の呼称は使用されなくなります。)
(「1次予防事業対象者」「2次予防事業対象者」の呼称は使用されなくなります。)
「介護予防・生活支援サービス事業」の構成は以下の通りとする。
・訪問型サービス
・通所型サービス
・その他の生活支援サービス
・介護予防ケアマネジメント
・訪問型サービス
・通所型サービス
・その他の生活支援サービス
・介護予防ケアマネジメント
「一般介護予防事業」の構成は以下の通りとする。
・介護予防把握事業
・介護予防普及啓発事業
・地域介護予防活動支援事業
・一般介護予防事業評価事業
・地域リハビリテーション活動支援事業
・介護予防把握事業
・介護予防普及啓発事業
・地域介護予防活動支援事業
・一般介護予防事業評価事業
・地域リハビリテーション活動支援事業
「介護予防・生活支援サービス事業」「一般介護予防事業」の対象者や詳細な事業内容は以下の通りとする。
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」で提供されるサービスの類型
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」ガイドライン(指針)の第2章で、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」のサービス類型事例が示されています。
第2章に記載されている内容のうち、特に重要なポイントは以下の通りです。
「訪問型サービス」について、現行の「介護予防訪問介護」と同様のサービス事例(「(1)訪問介護」)に加えて、多様なサービス事例(「(2)訪問型サービスA」、「(3)訪問型サービスB」、「(4)訪問型サービスC」、「(5)訪問型サービスD」)を提示。
<サービス事例>
(1)訪問介護(現行の「介護予防訪問介護」相当)
【実施方法:事業者指定】
現行の「介護予防訪問介護」と同様のサービス。
(2)訪問型サービスA(緩和した基準によるサービス)
【実施方法:事業者指定/委託】
主に雇用労働者が生活援助(掃除、洗濯、調理などの日常生活の
援助等)を行うサービス。
(3)訪問型サービスB(住民主体による支援)
【実施方法:補助(助成)】
ボランティア主体(住民主体)で生活援助(掃除、洗濯、調理などの
日常生活の援助)を行うサービス。
(4)訪問型サービスC(短期集中予防サービス)
【実施方法:市町村による直接実施/委託】
市町村の保健師等が居宅での相談指導(退院後の体力改善に向けた
相談指導等)を行うサービス。
(5)訪問型サービスD(移動支援)
【実施方法:補助(助成)】
主に雇用労働者が移送前後の援助(外出時の支援等)を行うサービス。
【実施方法:事業者指定】
現行の「介護予防訪問介護」と同様のサービス。
(2)訪問型サービスA(緩和した基準によるサービス)
【実施方法:事業者指定/委託】
主に雇用労働者が生活援助(掃除、洗濯、調理などの日常生活の
援助等)を行うサービス。
(3)訪問型サービスB(住民主体による支援)
【実施方法:補助(助成)】
ボランティア主体(住民主体)で生活援助(掃除、洗濯、調理などの
日常生活の援助)を行うサービス。
(4)訪問型サービスC(短期集中予防サービス)
【実施方法:市町村による直接実施/委託】
市町村の保健師等が居宅での相談指導(退院後の体力改善に向けた
相談指導等)を行うサービス。
(5)訪問型サービスD(移動支援)
【実施方法:補助(助成)】
主に雇用労働者が移送前後の援助(外出時の支援等)を行うサービス。
「通所型サービス」について、現行の「介護予防通所介護」と同様のサービス事例(「(1)通所介護」)に加えて、多様なサービス事例(「(2)通所型サービスA」、「(3)通所型サービスB」、「(3)通所型サービスC」)を提示。
<サービス事例>
(1)通所介護(現行の「介護予防通所介護」相当)」
【実施方法:事業者指定】
現行の「介護予防通所介護」と同様のサービス。
「(2)通所型サービスA(緩和した基準によるサービス)」
【実施方法:事業者指定/委託】
主に雇用労働者やボランティアが事業所内でミニディサービスや
運用・レクリエーション等を行うサービス。
「(3)通所型サービスB(住民主体による支援)」
【実施方法:補助(助成)】
ボランティア主体(住民主体)で、通いの場を設け、体操、
運動等の活動等を行うサービス。
「(4)通所型サービスC(短期集中予防サービス)」
【実施方法:市町村による直接実施/委託】
市町村保健師等が公民館等で生活機能を改善するための
運動器の機能向上や栄養改善等のプログラムを行うサービス。
【実施方法:事業者指定】
現行の「介護予防通所介護」と同様のサービス。
「(2)通所型サービスA(緩和した基準によるサービス)」
【実施方法:事業者指定/委託】
主に雇用労働者やボランティアが事業所内でミニディサービスや
運用・レクリエーション等を行うサービス。
「(3)通所型サービスB(住民主体による支援)」
【実施方法:補助(助成)】
ボランティア主体(住民主体)で、通いの場を設け、体操、
運動等の活動等を行うサービス。
「(4)通所型サービスC(短期集中予防サービス)」
【実施方法:市町村による直接実施/委託】
市町村保健師等が公民館等で生活機能を改善するための
運動器の機能向上や栄養改善等のプログラムを行うサービス。
「その他の生活支援サービス」として、以下の事例を提示。
(1)外出や調理の実施が困難な者等に対して、栄養改善を目的とした配食サービス。
(2)住民ボランティア等が行う見守り。
(3)「訪問型サービス」「通所型サービス」の一体的提供とした生活支援サービス。
(1)外出や調理の実施が困難な者等に対して、栄養改善を目的とした配食サービス。
(2)住民ボランティア等が行う見守り。
(3)「訪問型サービス」「通所型サービス」の一体的提供とした生活支援サービス。
まとめ
「平成27年度介護保険制度改正」では、団塊の世代が75歳以上となる2025年(平成37年)を見据えて、高齢者が住み慣れた地域で生活を維持できるようにするために、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステムの構築」の実現を目指しています。
また、団塊の世代が75歳以上となる2025年(平成37年)には、介護保険料の平均額が現在の5,000円から8,200円程度に上昇することが見込まれており、「介護保険制度」の持続可能性のための重点化・効率化が必要となります。
「地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化」を目指すため、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」を平成29年4月までに全ての市町村で実施されることになります。
「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の基本的な考え方として、以下の内容が示されています。
住民主体(ボランティアやNPO主体)のサービス・支援を充実させることにより、下記の実現を目指す。
(1)現行の「介護予防訪問介護」「介護予防通所介護」よりも廉価な単価の
サービス・支援を実現し、利用者の増加を実現させる。
(2)利用者が増加することにより、要介護に至らない高齢者や要支援状態からの
自立の促進を実現させる。
(1)現行の「介護予防訪問介護」「介護予防通所介護」よりも廉価な単価の
サービス・支援を実現し、利用者の増加を実現させる。
(2)利用者が増加することにより、要介護に至らない高齢者や要支援状態からの
自立の促進を実現させる。
また、上記にも記載している通り、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の特徴として、住民主体(ボランティアやNPO主体)が挙げられます。
これまでは、ホームヘルパーの資格を有している人のみ、「介護予防訪問介護」のサービスを提供することが可能でしたが、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の多様なサービス(「訪問型サービスA~D」)では、ホームヘルパーの資格を有していない雇用労働者やボランティア等もサービスを提供することが可能となります。
次回も今回に引き続き「新しい介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン」に記載されている内容を基に「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の概要を解説します。
(平成26年12月中旬頃掲載予定)
※当特集記事は全国介護保険担当課長会議(平成26年11月10日開催)の資料を基に作成をしています。
今後、介護保険制度改正の本施行までに、記載内容が異なる可能性があります。
添付
〔再掲〕介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案(概要) - PDFファイル
〔再掲〕介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン(案) - PDFファイル