上記法律の成立に伴い、介護保険法に関係する部分として、「地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化」が示されています。
「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」の介護保険法に関係する部分を「平成27年度介護保険制度改正」とし、経緯や内容及び施行スケジュールを解説します。
「平成27年度介護保険制度改正」の経緯
高齢者の介護を社会全体で支えあうことを目的として、平成12年4月に介護保険法が施行されました。
介護保険法では、3年を1期とした「介護保険事業(支援)計画」(※詳細は以下に解説)を都道府県及び市町村が策定し、介護保険事業を運営することが定められており、平成27年4月から第6期(平成27年度~平成30年度)が開始されます。
※「介護保険事業(支援)計画」とは
介護保険給付の円滑な実施を目的として、都道府県は「都道府県介護保険事業支援計画」、市町村は「市町村介護保険事業計画」を策定します。(3年を1期として作成)
「介護保険事業(支援)計画」で策定された介護サービス量の見込み等を踏まえて、介護保険料等が決定され、「介護保険事業(支援)計画」を基に、都道府県や市町村は介護保険事業を運営します。
また、「介護保険事業(支援)計画」の策定に合わせて、「介護保険制度」の改正が行われてきました。
今回も第6期の「介護保険事業(支援)計画」の策定に合わせて、「介護保険制度」の改正が行われることになります。
なお、厚生労働省からは、団塊の世代が75歳以上となる2025年(平成37年)を見据えた「第6期介護保険事業(支援)計画」を策定するように示されています。
「平成27年度介護保険制度改正」の内容
「第6期介護保険事業(支援)計画」では、2025年(平成37年)を見据えた施策を策定することが示されています。2025年(平成37年)を見据えた施策で重要な要件が「地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化」です。
「地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化」を目指すために、「平成27年度介護保険制度改正」では、以下の内容が示されています。
「(1)地域支援ケアシステムの構築」では、「サービスの充実」と「重点化・効率化」に関する情報が示されています。
「(2)費用負担の公平化」では、「低所得者の保険料軽減を拡充」と「重点化・効率化」に関する情報が示されています。
「平成27年度介護保険制度改正」の施行スケジュール
「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」の施行日が以下の通り示されています。その中で、赤枠に該当する箇所が「平成27年度介護保険制度改正」に関連する内容となります。
上記の赤枠で示している通り、「平成27年度介護保険制度改正」では、改正事項によって、施行日が異なることに留意する必要があります。
まとめ
平成12年4月に介護保険法が施行されてから、3年の周期で「介護保険制度改正」が行われてきました。
その中でも、特に「平成18年度介護保険制度改正(予防給付の創設、施設給付の見直し等)」や「平成24年度介護保険制度改正(地域包括ケアの推進等)」は介護サービス利用者、介護保険サービス事業所、市町村等に対して、影響の大きいものでした。
しかし、今回の「平成27年度介護保険制度改正」は、団塊の世代が75歳以上となる2025年(平成37年)を見据えた施策(「地域包括ケアシステムの構築」、「介護保険制度の持続可能性の確保のための重点化・効率化(費用負担の公平化)」)が提示されていることもあり、介護サービス利用者、介護保険サービス事業所、市町村等に対して、これまでの「介護保険制度改正」以上の影響がありそうです。
当特集記事では、特に介護サービス利用者、介護保険サービス事業所、市町村等に影響の大きい改正内容を中心に、「平成27年度介護保険制度改正」に関する詳細な内容を解説していきます。
次回は、平成26年10月下旬に「サービス付き高齢者向け住宅への住所地特例の適用の概要」を解説する予定です。
※当記事は平成26年2月25日に開催された全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議に提示された情報を基に作成をしています。今後、介護保険制度改正の本施行までに、記載内容が異なる可能性があります。
添付
平成26年2月25 開催 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(1.介護保険制度の改正案について) - PDFファイル