特集

インタビュー 「ケアの現場から」
ソーシャルケア研究所・本間清文さんの監修で、ケアの現場のさまざまな職種の声を届けていきます。

第2回 「震災・共感・自己覚知」

本間清文さん(居宅ケアマネジャー) 後編
2011年6月10日
 前回から引き続き、この連載で監修者としてご協力いただく、独立型の居宅介護支援所「介護支援所ファイト」(東京都中野区)の本間清文さんにインタビューします。独立ケアマネ・ネットワーク世話人を務め、メルマガ「セルフケア」を発行し、著作や講演も行うなど、多彩な活動を展開する独立型のケアマネジャーの素顔に迫ります。


――今回の、東日本大震災から介護の現場を考えたことが何かありますか。

 甚大な被害を及ぼした地震について、私が生活する東京は直接の被災地ではなく、多少の体感と報道から情報が入り、人間の本能として「何かしないと」と思いました。でも、すぐにはできないのです。

 また、職業柄(被災者に)共感する習性が強く、うつ的な状況にもなりました。ただ、対人援助職には、共感と同じく、自己覚知、つまり自分を知るという当たり前で難しいことも重要なのです。


 「何かしなくてはいけない」という報道からのバイアスがかかるなか、現実の自分は被災していないし、できることは限られます。では、自分は何をすべきなのかを考えてみると、自分自身や家族の不安を取り除き、「被災した気持ち」になっている自分を律していく必要がありました。被災者だけに感情移入するのではなく、生きているものとして客観的に自分を見つめセルフコントロールしないといけないわけです。

 思いだけで動くと空回りやバーンアウトのリスクが高まります。一過性の感情に踊らせて動くことは避けないといけないのです。ましてや、我々は介護という長期的対人支援のプロです。まず、ケアの現場でどういう思いをしているのか声を拾い上げたい思いから、メルマガでも、被災現場の声の発信を呼びかけました。これには反応も届いています。また、震災に対する自分自身のコントロールについても、提案を呼びかけているところです。

 被災者でも、介護を受ける人でも、本来どんな人にもそもそも備わった力があります。本当の答えはその人が持っていて、その人がいる現場にしかないものです。それを、第三者がかかわる以上、その人の力を引き出したり尊重したりすること、本人が気づくように寄り添い、伴走していくことが大事だと考えています。どう生きるかは本人が決めることですが、不安や悩みに付き添う人の存在があるかないかで気持ちは変わるものでしょう。「セルフケア」はそんな現場の伴走者になりたいと思っています。

――これから、本間さんの監修で連載が始まります。最後に一言お願いします。

 医療のようにスタッフから患者へという一方通行性の強いものと違い、介護は双方向性が非常に強く、「こうでなければならない」という限定的なものではありません。人と人との関係の数だけ、介護の種類があります。この連載でも、いろいろな立場の人に登場していただくことで、いろいろな現場の声を拾い上げ、皆さんと共有できたら、と思っています。

――メルマガ「セルフケア」と両輪になる連載にしていきたいですね。本日はどうもありがとうございました。

(おわり)

※2011年4月13日取材

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