特集

インタビュー 「ケアの現場から」
ソーシャルケア研究所・本間清文さんの監修で、ケアの現場のさまざまな職種の声を届けていきます。

第1回 「ケアマネジャーの公正・中立性」

本間清文さん(居宅ケアマネジャー) 前編
2011年5月10日
 今回と次回の2回にわたって、この連載で監修者としてご協力いただく、独立型の居宅介護支援所「介護支援所ファイト」(東京都中野区)の本間清文さんにインタビューします。独立ケアマネ・ネットワーク世話人を務め、メルマガ「セルフケア」を発行し、著作や講演も行うなど、多彩な活動を展開する独立型のケアマネジャーの素顔に迫ります。


――今回、連載「ケアの現場から」を本間清文さんに監修していただくことになりました。よろしくお願いします。そこでまず、本間さんご自身について聞かせてください。

本間氏の新刊『介護の現場がこじれる理由――フリーのケアマネが見た在宅介護の10年』(雲母書房)
 学生時代、演劇部で脚本や演出を担当していました。演劇を志して上京したものの挫折感が大きく、自分にとって一番社会で光の当たらない印象だった特別養護老人ホームで仕事をしようと自分を追い込みました。人間、とりわけ生や死を知らないまま表現に取り組んでいた自責感もあり、特養でならそれも学べるのではないかという考えもありました。

 ところが、ケアワーカーとして働き始めたものの腰を痛め、さらにバーンアウトしてしまい、直接的ケアから、少し距離を置いたマネジメントに携わろうとケアマネジャーになりました。高齢者を取り巻くいろいろな人とかかわりつつ生活デザインを組み立て、適性や能力に配慮していく関係調整は演出に似ていて、自分に合った仕事だと感じています。

 また、高齢者の健康状態が不安定でケアのニーズが医療管理であると明確だったり、しっかりした介護者がついていてニーズの自己分析がしっかりしていたりすれば、さしてケアマネジャーの公正・中立性は必要ありませんが、老々介護の世帯や、介護者が理解力の落ちた高齢者といった状況の場合には、ケアマネジャーの公正・中立性は最低必須条件だと考え、単独型という立場を取っています。

――メールマガジン(メルマガ)「セルフケア」を発行されていますね。

 はい。ケアの現場の人々を応援したい、と考えました。介護保険の導入で異業種からの参入が起き情報量が増えましたが、従来からある行政発表などが中心で、現場で納得できる情報は少ないと感じていました。現場の過半数は中小規模事業者ですが、そういう人の声はメディアに拾われにくいし、そもそも声を上げる力をあまり持たない。そもそも、ケアワーカーは目の前の人とのかかわりに力を注ぎ、それを発表することはなかなかしません。そこで、そういう現場の小さな声を集めて発信していきたいと考えたのです。始めたのは2010年7月、今ではケアワーカーやケアマネジャーなどを中心として約150人に配信しています。

 編集協力者は同じく中小規模の介護サービス事業所の仲間で、読者は携帯電話のユーザが約3分の1と多いことが特徴です。ケア現場の人は人が好きで、ケアマネジャーは事務作業もするのでパソコンを使いますが、その大半はパソコンのヘビーユーザではありません。ツイッター全盛期とはいえ、メールマガジンのようにアナログな関係性も無視できないと思います。現場の、現場による、現場のためのメディアを目指し「セルフケア」と名付けました。

(つづく)

プロフィール
本間 清文(ほんま きよふみ)
介護福祉士。介護支援専門員。広島大学総合科学部卒業。
新聞社から福祉業界へ転身。特別養護老人ホーム、デイサービス、在宅介護支援センター、社会福祉協議会等を経て単独型の居宅介護支援事業所「介護支援所ファイト」開設。
地域ケアマネ部会副会長など歴任。その後、ケアに関する総合研究所「ソーシャルケア研究所」を開設し、研修、ケアプラン点検支援事業サポートなどで活躍中。
著書に『介護の現場がこじれる理由』(雲母書房)、『ケアマネべんり手帳』(メディカ出版)など。

※2011年4月13日取材

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