障がい者の権利擁護の手段の一つである成年後見制度は、判断能力に応じて本人の意思を尊重し、本人らしく生活できるように、契約や手続等の法律行為を行うために財産を管理する仕組みです。しかし、制度利用の為には申立に先だって、判断能力の状況について医師による診断を受ける必要があります。
認知症には脳の画像や長谷川式スケールなどの指標の他、発症が中高年以降ということもあり、それまでの本人の生活歴や活動状況から判断能力の状況を比較的把握しやすいと思われます。
また、知的障害の方の場合は、18歳未満に障害が現れ知能検査を基に日常生活の様子などから障害の程度を総合的に判断することが可能です。
一方で、精神障害の方の場合は、統合失調症、気分障害、高次脳機能障害など疾病の状況により心身の状態には波があることが多く、判断能力を定めることが難しい場合が多いのです。
後見人は「保護者」となる
医療保護入院になった場合、本人の同意が無くとも保護者の同意があるときは、本人を入院させることができ(同法 第33条)、退院の際は引き取り義務(同法 第41条)があります。
その義務を負う事は重い責任を伴います。
ただし補助人には「保護者」となることは求められておらず、被補助人となる精神障がい者本人は自身の病状について医療の必要性を判断できるとされているのです。
後見人等として社会福祉士にできること
精神障がい者は、社会参加の機会が少ないために物事の認知の仕方や行動の偏りがあったり、相手との距離感を取ることが苦手でなかなか人と馴染めないことがあったり、逆に人に依存してしまうということなどが起こりがちです。
その症状についても、調子の波があることを常に念頭に置き、状態が悪くなった場合にも、すぐに関係機関との連携を取り、対応が出来るよう準備しておくことが必要です。
様々な困難を抱える生活者としての精神障がい者の「最善の利益」を考え、「本人の意思の尊重」と「本人の保護」の調和を図るためには、「出来ないこと」「してはいけないこと」に目を向けるだけではなく、本人がどのような暮らしを望んでいるのかに視点をあて、それを実現するための方法を本人と一緒に考えることはもちろん、時には不利益を理解できるよう本人に説明し支えて行くこともまた必要なことです。
社会福祉士は相談援助の技術をもって、後見人等として「身上監護」を主たる業務にすることで、本人の生活のしづらさを解決するための、本来の「財産管理」に繋げることができると思います。
(一般社団法人成年後見事務所アンカー 水谷)
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