知的障がい者の権利擁護は、多くの場合、サービス利用、契約を通して具体化されるといえます。そのため、成年後見制度が、権利擁護の一つの手段として機能するのです。成年後見制度は、自己決定の尊重、ノーマライゼーション等の新しい理念と本人の保護を調和させて、弾力的な利用しやすい制度となるように考えられています。
次に、知的障がい者が成年後見制度を利用する場合に、どのような利点があるのか、また課題があるのかといったことをまとめたいと思います。



身上監護の重要性
知的障がい者の成年後見を考えた場合、実際の後見活動は、ソーシャルワークと、「生活支援」の課題の間を行き来することになりますが、家庭裁判所が示している身上監護の内容は、「契約」に伴う法律行為を表現したもので、そのための財産管理の指針を示しています。一方で、新しい成年後見制度の発足時に、旧法との大きな改正点として「身上監護」に重きが置かれたことが強調されています。
この「身上監護」については、民法第858条「成年後見人の身上配慮義務等」として、職務遂行の指針が示されています。民法の条文にある心身の状態及び生活の状況に配慮した職務の遂行は、後見活動の質に直接的に関与するものと考えます。障害福祉の「ノーマライゼーション」、「自己決定の尊重」、「残存能力の活用」の理念からも、知的障がい者の成年後見は、「身上監護」をどう解釈し、ソーシャルワーク的な視座も入れて、どう後見活動していくかが、知的障がい者の権利擁護や生活の質に繋がると思います。
(一般社団法人成年後見事務所アンカー 吉田千代)


