厚生労働省の発表によると、平成22年10月時点の65歳以上の高齢者人口は約23%、介護・支援を必要とする認知症高齢者は約200万人いると推計されています。
(前編はこちらよりご覧ください)
厚生労働省高齢者介護研究会(2003)『2015年の高齢者介護~高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて~』http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kentou/15kourei/3c.htmlより改変(アクセス日:2011年6月11日)
しかし、成年後見制度の利用者(全体)は17万人に留まっているのが現状です。
私見ですが、高齢者の成年後見制度の利用が進まない理由を、以下のように考えます。
第一に、申し立て手続きが煩雑なことです。単に書類に記入して提出すればよいだけではなく、本人はもちろん、親族間の合意をとる作業に時間を要します。
第二に、専門家を選任した場合の報酬の負担に関する問題です。第三者である専門家に任せるほうがよい場合も多いのですが、本人の財産が少ない場合、その報酬支払いの難しさから、成年後見制度の利用を断念するしかないこともあります。報酬助成制度の未整備な地域も多いのです。
第三に、家族が本人の財産を自由に使えなくなることです。そのこと自体に成年後見制度の意味があるのですが、たとえば、高齢者夫婦の世帯でどちらか一方の名義の財産で家計をやりくりしている場合に、不自由が生じるのは想像に難くないでしょう。
その他、成年後見の利用を阻害する要因は複数ありますが、親族に介護者が得られない場合や関係が希薄な場合、社会生活を維持するうえで、成年後見制度を利用するメリットはあると思います。
身上監護業務の重要性
成年後見制度自体は、禁治産・準禁治産制度の名残からか、財産管理業務を中心とすると考えられています。財産保全は後見人の義務ですが、それだけでなく、被後見人がこれまで築いてきた財産を有効に活用して、被後見人自身が人生を全うできる支援をすることが重要です。たとえば、ある特養に入所する被後見人のAさんは、音楽療法士の訪問を受けています。また、別の特養に入所している被後見人のBさんは、月1~2回、なじみのヘルパーの訪問を受けています。いずれの場合も、成年後見人が被後見人のQOL維持とリハビリを目的にコーディネートしたのです。
このように、被後見人が、人生の終結期にいかに充実した毎日を送ることができるか。財産管理業務と同等に、身上監護業務も後見人の重要な業務なのです。
来月は、知的障がい者について取り上げる予定です。横浜市の特色でもある、あんしん施策についてもご紹介します。
(一般社団法人成年後見事務所アンカー 西田ちゆき)



