高齢者および高齢者を抱える家族の方に、成年後見制度を知っておいていただきたい理由はいくつもありますが、ここではまず、認知症高齢者を取巻く環境の変化を二点あげたいと思います。
第一は、詐欺事件の増加です。
近年、詐欺事件は多発し、その手口が巧妙になっています。警察庁の統計によると、平成23年1月から4月までの振り込め詐欺の被害額は約82億円にのぼり、なかには、借金を背負わされる事件も発生しています。
また、被害者に占める60歳以上の高年者・高齢者の割合は78.8%にもなります。このうち認知症高齢者も多数占めると予測されます。
警察庁「振り込め詐欺認知・検挙件数状況(平成23年4月)」http://www.npa.go.jp/sousa/souni/hurikomesagi_toukei.pdf より改変(アクセス日2011年6月11日)
第二は、諸手続きが煩雑なことです。
行政サービスは申請主義が原則にあり、サービスを受けるには申請手続きが不可欠です。さらに、介護保険制度を利用する場合には、サービス事業者との契約書類も交わさなくてはなりません。そして、これらのサービス利用に付随する書類や更新手続き書類が、ひっきりなしに送付されてくるのです。
たとえ軽度であっても、多くの認知症高齢者は事業者の巧妙な手口を疑う気力もなく、また、膨大な書類を処理する根気も残っていないものです。すべての認知症高齢者が成年後見制度を使う必要はないかもしれませんが、少なくとも子どものいない高齢者単身世帯や夫婦世帯の方については、この制度の利用を視野に入れておいたほうが無難でしょう。
成年後見制度を使うメリット
後見人は、かなり包括的に日常生活を支援します。表1に、成年後見人の財産管理業務、身上監護業務の内容の一例を列挙しました。
《表1》
| 財産管理業務 | 身上監護業務 |
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与えられる権限によりますが(注:後見人の類型により、与えられる権限が若干異なります。第2回の記事参照。)、後見人は、全ての財産の管理や、医療・介護の利用契約から異議申し立てまで、本人の代わりに行うことが業務となります。
つまり、後見人がついていれば、一人暮らしの認知症の方でも、そうでない場合に比べ、安心して生活できるといえます。
(後編はこちらよりご覧ください)
(一般社団法人成年後見事務所アンカー 西田ちゆき)




