そこで今回は、介護保険制度の概要と利用者負担、似通ったサービスの違いについて解説したいと思います。
介護保険制度は約12年前、要介護高齢者の増加と介護の長期化、さらに介護する家族の高齢化などの問題に対応するため、それまでの老人福祉と老人医療の矛盾と限界を解消すべく導入されました。
現在は利用者が当初の3倍の400万人を超え、要介護(要支援)高齢者の生活を支える制度としてすっかり定着しています。介護保険の被保険者は2種類に分かれており、第1号被保険者は65歳以上の方、第2号被保険者は40歳から65歳以上の医療保険加入者です。
第1号被保険者は寝たきりや認知症など介護や支援が必要な状態になるとサービスを利用することができます。一方、第2号被保険者は末期がん、関節リウマチなど加齢に起因する場合に利用することができます。
サービスを利用する際は要介護認定を受けなければなりません。上図に示したプロセスは一見すると複雑ですが利用者は市町村の窓口に行き、申請を行うだけです。
重要なのは要介護認定後です。在宅福祉サービスを利用する場合は、まず市町村窓口や関係者の情報を頼りに、ケアプランを策定してくれる居宅介護支援事業所と連絡をとり、サービスの利用開始手続きを始めます。
ケアプランを策定する際、財産管理を行う後見人として介護保険に掛かる費用は気になります。まず、介護保険は市町村単位で運営されているため、保険料は市町村ごとに異なります。
制度発足当初は第2号被保険者の保険料が抑制されていたことから、全国平均で保険料は2,911円でしたが、段階的に戻され、2011年の全国平均は4,160円となっています。なお、第1号被保険者の保険料は所得に応じて段階的に設定されているため、非課税世帯は低額に抑えられています。
利用者負担は原則、利用したサービス料金の1割です。従って、介護度が重いほど保険点数が高く限度額も多いので、利用者負担もそれに比例します。ただし、これも所得別の4段階に分かれており、市役所などで手続きをすれば一定額を超えた利用料が還付されます。
このように、介護保険サービスの利用者負担額については、年金・預金が少ない方が支払うことができないというような高額ではありませんが、介護保険施設を利用する場合は個室料や衛生費など介護保険外の費用が発生することがありますので確認が必要です。
次に、家族や親族がいない場合や被後見人の介護に携わらない場合、後見人は使うサービスを決めていかなくてはなりません。サービスの概要はパンフレットにわかりやすく書いてありますが、違いが分かりにくいのがデイサービスとデイケア、介護老人福祉施設と介護老人保健施設ではないでしょうか。
デイサービスと介護福祉施設は老人福祉制度の流れを汲むものであり、デイケアと介護老人保健施設は老人医療の流れを汲むものになります。
介護保険法が施行された現在も老人医療の流れを汲むサービスは老人福祉法の流れを汲むサービスよりも医療的なケア体制が手厚くなっています。つまり、デイサービスは特にリハビリを目的としていませんが、デイケアはリハビリが主要な柱となります。
また、介護老人福祉施設は生活施設であり、退所の期限はありませんが、介護老人保健施設は在宅へ帰ることを目的としたリハビリ施設であると位置づけられています。
高齢者の人口は今後も増え続けることが予測されます。それに伴い、認知症高齢者の数も増えるでしょう。
政府は2012年介護保険改正により、24時間対応の定期巡回・随時対応型サービスの創設や、小規模多機能型居宅介護と訪問看護といった複合的な居宅サービスを提供できる事業所の創設など医療と介護の連携強化により、高齢者の在宅生活の維持を図ろうとしています。家族や親族の介護が期待できない被後見人でも、できる限り在宅生活を維持できるサービス体制に発展することが望まれます。
一般社団法人 成年後見事務所アンカー
西田 ちゆき



