託す思い
「ぱざぱのあんしんノート」の目指すところや託す思い、そして有効性は前回の記事、「第14回 引き継ぎ書『将来のためのあんしんノート』」で紹介されているものと同じです。
≪第14回の記事はこちらから≫
障がいの内容や程度の違いはあっても、障がいのある人本人の幸せ、暮らしやすさを願う家族の気持ちに変わりはありません。
では、なぜ、「ぱざぱのあんしんノート」は作られたのでしょうか。
「ぱざぱのあんしんノート」
重症の障がいのある人は、食事や排泄、入浴など日常生活のいろいろな場面で介助を必要とし、吸引や経管栄養など医療的ケアが必要な場合もあります。そして、介助や医療的ケアには一人ひとり異なった配慮が必要です。
重症の障がいのある人、医療の支援が濃厚なケースでも在宅で暮らす方が急増していますが、多くは母親が子どもの福祉・医療・教育などについて全てを把握し、生活をコーディネートしています。そのため、もし母親に万が一の事あれば、たちまち十分な支援ができなくなる心配があります。
そこで、「横浜重心グループ連絡会 ~ぱざぱネット~」ではメンバーから「あんしんノートプロジェクトチーム」を募り、「あんしんノート」の重心バージョンと言えるものを作る活動を開始しました。
活動では、一昨年公開された“NPO法人 ゆうの風”の「あんしんノート」や“三人会”の「引き継ぎ書 将来のためのあんしんノート」を参考に使わせて貰い、身体に障がいがある人の介助や医療のことから日常生活の細かな注意点まで、全てを記録しておける「ぱざぱのあんしんノート」を作成してきました。
緊急時はもちろんですが、就学や卒業後等、どんな場面でも支援する側の方に必要な情報を、細かいニュアンスまで的確に伝えることができる重要なツールとなるようにと、これまで検討に検討を重ねて来ました。
「重心版」とか「重心バージョン」というネーミングはちょっと…と躊躇したため、グループの名称である「ぱざぱネット」の名前からとって「ぱざぱのあんしんノート」としました。
「ぱざぱネット」とは?
ここまでに何度も出てきた「ぱざぱネット」という名前ですが、正式名称はご存知でしょうか?正式には「横浜重心グループ連絡会 ~ぱざぱネット~」と言います。
横浜市内のさまざまな地域で活動をしている重症心身障がい児者や肢体不自由児者の親の会14団体が参加している連絡会です。構成団体の会員総数は約250人になります。
横浜市内の各地域で、重症の障がいのある子ども達の親の会がそれぞれに活動してきましたが、それらの会を繋ぎ、協力しあって活動するために、平成13年7月にこの連絡会「ぱざぱネット」を立ち上げました。
フランス語のpas a pas(一歩一歩)の意から、小さな一歩ずつでも、地域における普通の暮らしを実現するために歩んでいきたいとの想いから名づけられました。
詳しくは「横浜重心グループ連絡会 ~ぱざぱネット~」のホームページをご覧ください。
ぱざぱネットホームページ
問い合わせ用事務局アドレス:

「ぱざぱのあんしんノート」の特徴
さて、作成した「ぱざぱのあんしんノート」は次のような特徴を備えたものとなっております。
- 「書き方の手引き」を付けました。 ノートに書き込む前や、書き込む途中の疑問・不安も解消できるような「取扱説明書」の役割になることを目指しました。
- 「介助や配慮について」「医療的ケアについて」の欄を充実させました。 必要に応じてコピーをして足したり、処方箋や検査記録のコピーを一緒にファイリングしたりして使って貰うことを目指しました。
- ノートの初めの部分に「緊急対応用」のページを見開きで作りました。 緊急時に必要な対応の仕方が一目瞭然になるように目指しました。
- できるだけコンパクトにしました。 「三人会」の「あんしんノート」と同様に必要最低限の欄と最少のページ作りを目指しました。記入する負担をできるだけ軽減したいと考えました。
- 将来起こるかもしれない課題に備えての欄を充実させました。 「将来について」のページは、今は記入できなくても“今から将来に備えて本人の意向を大事にしながら家族で考えてみる機会を作って貰う”きっかけ作りも目指しました。
特に、4に関しては、このような類のノートで目指されてきた「親心をいかに記録しておくか」ということはとても大切で大きな課題でしたが、「想い出の記録」というようなアルバム的なものはそれぞれの家庭で改めて考えて貰えれば良いのではないか、それよりもここで大事にしたいのは的確な引継ぎができるようにという役割ではないか、と考えたのでした。
さらに、5については「将来の医療について」というページの作り方に検討を重ねて来ました。このページは、今あちこちで話題になっている「エンディングノート」等では「延命治療について」というようなタイトルで作られている事が多いのですが、「延命治療」という言い方をしないで作りたいと考えたのです。
近年、医療の支援が濃厚な状態で暮らしている人が急増しており、「ぱざぱネット」の会員でもそのようなケースがとても多くなっています。「終末期」とか「延命治療」ではなく、日常生活で人工呼吸器などを使って暮らしている子ども達が身近にいるため、これらのページ作りに際してとても多くのことを考えさせられました。どのような状態であっても、一人ひとりが出来る限りその人らしく生き、支える家族ともども幸せに暮らせることを願ってのノートであり、ネーミングなのです。
あんしんノートは、障がいのある子どもが地域で豊かに暮らしていけることを望む親心から始まりました。この「あんしんノート」を活用して、親が元気なうちに支援者に引き継いでいけるようにしたいものです。
さいごに
「ぱざぱのあんしんノート」をはじめ、たくさんの方に「あんしんノート」のことを知って貰い、支援する側、託す側ともにあたたかな支援のための有効なツールとして活用して貰いたいと願っております。
横浜重心グループ連絡会~ぱざぱネット~「あんしんノートプロジェクトチーム」
一般社団法人 成年後見事務所アンカー
斎藤 聡子
今回ご紹介した「ぱざぱのあんしんノート」は、ぱざぱネットのホームページにて、ファイル入りの販売をしております。詳しくは、ぱざぱネットのサイトをご覧ください。
LINK:
あんしんノート|ぱざぱネットホームページ
[PDF]あんしんノート購入申込票




