ご挨拶 ~ NPO法人ウェルへの運営移管にあたって ~
「ウェル」の歴史は1997年にまで遡ります。当時の日本には、まだ公的介護保険制度は存在しておらず、インターネットもようやく世間に認知され始めたIT黎明期でした。そんな中、全国の社会福祉士と仮想合同社会福祉士事務所を作り、福祉相談を展開していた横浜市福祉事務所の須田幸隆氏が、インターネット技術に明るく、須田氏と同じ股関節症を患っていた高橋邦彰氏や、社会福祉士の一般養成施設の職員であった伊藤康恵氏との出会いがあり、当時としては画期的な試みであったインターネットによる福祉相談をスタートさせました。その後、サイトの名称を「welfare-net21」とし、有識者によるコラムや情報交換の場としての掲示板機能を加えて行きました。また、2000年には政府主催のインターネット博覧会にて「社会貢献賞」を受賞するなど、全国的に大きな注目を集める存在となりました。
特に、2000年施行の公的介護保険制度(準備介護認定は1999年)や、2003年施行の障がい者支援費制度(現在の障害者総合支援法)の開始前後には、各種情報が錯綜する中、現場の業務を司るケアマネージャ、介護福祉士、社会福祉士、保健師等の専門職のみならず、事務方職員や情報システム担当エンジニアまでもが、職種の枠を超えて広く情報交換を行うことで大きな役割を果たし、ますますその存在感を増して行きました。
順風満帆に思えた当サイトでしたが、突然の悲しみが訪れます。2002年12月にサイト運営管理者の高橋氏が急逝してしまったのです。須田氏を始めとする関係者が途方に暮れる中、当時、この掲示板でK氏というペンネームで頻繁に情報提供していたシステムエンジニアの金本昭彦や、JAHISや日本福祉介護情報学会等で活動していた原田栄一が属する日本コンピューター株式会社が、営利目的としないことを前提に、情報サイト「ウェル」という名称でこのサイトの運営を引き継ぐことになりました。以降、「後期高齢者医療」や「特定健診」等の新制度開始時には当該テーマ専門の掲示板を新設、2006年には須田氏や講談師神田織音氏と共同で成年後見制度の普及啓蒙を目的とした講談を開始するなど、一貫して非営利活動を継続して参りました。
そして、サイト運営を引き継いで10年の月日が経過した2012年、今後について関係各位と改めて調整した結果、営利を目的としないスタンスを”永続”させたいのであれば、株式会社によるボランティアという位置付けよりも、それを目的としたNPO法人を設立して運営を移管した方が、妙な誤解を受けることなく幅広い支持を得られるであろうとの結論に達しました。それを受けて、NPO法人設立に向けた調整を重ねた結果、2014年10月23日に「特定非営利活動法人ウェル」の設立登記を完了させることができました。以降、サイト運営業務の引き継ぎを行った結果、2015年3月2日よりNPO法人としてのサイト運営を開始できる運びとなりました。
新たなスタートを切った今、改めて情報サイトウェルにある過去記事を読み返してみますと、2004年1月25日に須田氏が「いずれはこれらをNPO法人で取り組むことが出来れば」と記していました。あれから10年の時を経て、ようやくそれが現実のものとなりましたが、今後も須田氏や天国にいる高橋氏が抱いた当サイト設立当初の志を忘れることなく、皆様にとって有益な情報サイトとして永続できるよう全力を尽くしますので、引き続き当サイトをよろしくお願い申し上げます。
特定非営利活動法人ウェル
http://www.npowel.or.jp/
ウェル運営事務局